新幹線の座席【数学】
お盆シーズンで新幹線を利用する人も多いと思います。
私は高校生のときにはじめて新幹線に乗ったのですが、そのとき
なぜ新幹線の座席は通路を挟んで2列と3列の形をしているのか?
と思いました。
新幹線の座席
直観的には2列と2列の左右対称の方がバランスが良いような気がしますが、どうしてなのでしょう。もちろんこれには理由があります。
それは、
2人以上ならどの人数で乗っても、1人ぼっちになる人はいないようにするため
です。
2人から7人までの座席対応表
この話は大学在学中のデザイン工学という授業で紹介されて知ったのですが、なるほどなーと感心した覚えがあります。
ところで、この「2人以上ならどの人数で乗っても、1人ぼっちになるなる人はいない」というのを数式で証明することはできないのでしょうか?(今日の朝思った)
つまり、こういう問題を考えることになります。
2以上のすべての整数nに対して、
2l+3m=n
を満たす0以上の整数l,mが存在することを証明せよ。
補足:nが乗客数、lが2列シート使用数、mが3列シート使用数を表す
結論からいうと、高校数学Aの整数ができれば証明が可能です(場合によっては中学生でもできるかも)。
少し考えると、「乗客数が偶数のとき(n:偶数)は2列シートを使えばOK、乗客数が奇数のとき(n:奇数)は少なくとも1つは3列シートを使う必要がある」ということに気づきます。よって、nが偶数か奇数かで場合分けを行います。
以下、kは正の整数
(Ⅰ)n=2kのとき
2l+3m=nより、2l+3m=2kとなり
これより、2l=2k-3m
ここでm=0とすると、2l=2k ∴l=k
よって、l=k,m=0とすればよい
(Ⅱ)n=2k+1のとき
2l+3m=nより、2l+3m=2k+1となり
これより、2l=2k-3m+1
よって、l=k-1,m=1とすればよい
(Ⅰ)(Ⅱ)より、2以上のすべての整数nに対して、2l+3m=nを満たす0以上の整数l,mが存在することが証明された。
正直、数式を使うまでもないような内容ですが、こういう身近なものに対して数学的観点から考え答えを導くのはやはり楽しいものです。
ちなみにですが、これは
整数a,bが互いに素であるとき、
ax+by=1
を満たす整数x,yが必ず存在する
という整数の超有名かつ超重要な性質が関係しています。この事実とこの事実の証明はかなり重要。証明をしたことがない人はぜひ一度は経験しておくべきです。(長くなってしまうので、ここでは証明しません)
それでは今日は新幹線の座席の話でした。
あ、ちなみに3列シートの中央の座席は他の座席よりも横幅が2㎝広いそうですよ(笑)