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論理的ってなに【数学】

今日は少し数学のお話をしたいと思います。

 

まず、みなさんも耳にしたことがあると思いますが、

「数学は論理的思考力が身につく」

と大人たちはよく言います。

 

それを初めて聞いた時の私は、

「論理的ってなに?」

という疑問を持ちました。

 

しばしば私はこの疑問を大人たちに投げかけましたが、私が納得する答えを提示してくれる大人はずっと現れませんでした。

 

しかし、あるとき1冊の本を読んでいると完全被覆問題という問題が載っていました。これが私の長年の疑問を解消してくれたので、みなさんにも紹介したいと思います。

完全被覆問題〈隅を切り取られたチェスボード〉

このチェスボードは、対角線上の2つの隅が切り取られて62升目になっている。また、ドミノ牌が31枚あって、それぞれ升目2つ分の大きさをもっている。

問題は「チェスボードの62升目を、31枚のドミノ牌で覆い尽くすことはできるか」というものである。

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 みなさんも少し考えてみてください。

 

以下、解答

 

とりあえず何度か実験してみると、「どうやらムリそうだ」ということは容易に想像がつきます。しかし、覆い尽くせないドミノ牌の並べ方を1000通り、10000通り試しても、それがチェスボードの62升目を、31枚のドミノ牌で覆い尽くすことはできないという証明にはなりません。それは、まだ試していない方法でボード覆い尽くせないとは限らないからです。並べ方は何100万通りとあり、実際に試せるのはそのうちのほんの一部にしか過ぎないからです。つまり、この現方法論では、覆い尽くせないという結論は、実験に基づく1つの説にしか過ぎず、誇張するのであれば、この説はいつの日か覆されるのではないかと案じなければいけません。

 

では、論理的思考による論理的解答とはどのようなものなのか。それが次のようになります。

  1. チェスボードから切り取られた隅は、両方とも白である。したがってボード上には32個の黒い正方形と30個の白い正方形とがある。
  2. それぞれのドミノ牌は、隣り合った2個の正方形を覆う。そして、隣り合う2つの正方形は必ず色が異なっている。つまり、1個の黒と1個の白である。
  3. それゆえ、どんな並べ方をしようとも、30枚のドミノ牌は30個の黒い正方形と30個の白い正方形を覆う。
  4. 結果として、つねに1枚のドミノ牌と2個の黒い正方形が残る。
  5. ドミノ牌はつねに隣り合った2個の正方形を覆うこと、隣り合っている正方形はつねに色が違うことを思い出そう。残された2個の正方形は同じ色なのだから、残った1枚のドミノ牌で両方を覆うことはできない。
  6. ゆえに、このチェスボードを覆い尽くすのは不可能である。

 この証明からわかるのは、仮にすべての並べ方を試したとしても、隅を切り取られたチェスボードはドミノ牌では覆い尽くせないということです。

すなわち、論理的な議論からは疑問や反駁の余地のない結論が得られ、その結論は永遠にゆるがないということです。

数学は、論理的議論の集大成です。ピタゴラスの定理や相加平均と相乗平均の大小関係などは、要は「すべての直角三角形において成り立ち」、「すべての正の数において成り立つ」のが肝なのです。

すべてを見ずともすべてを見る、それを可能にするのが論理的思考力であると言えると思います。